ムコ多糖症という小児難病があります。
一般的な健康体の人は、体内で作られたいろいろな物質を酵素の力で分解して排出する代謝と呼ばれる作業がスムーズに行われますが、ムコ多糖症患者の方は、生まれながらに体内で酵素自体を作ることができなかったり、できたとしても少ない場合があり、いずれのケースも障害が起きてしまいます。
この代謝が正常に行われずに体に障害を引き起こしてしまう病気を「ライソゾーム病」と呼んでおり、ムコ多糖症は、その病気の一種です。
最初から体の中で酵素を作ることができない、また少ししかできないといった理由から、代謝のメカニズムが正しく行われずに、様々な障害を引き起こすわけです。
ムコ多糖症の発生率は岐阜大学の調べによると、約5万人に一人の割合で発祥するというデータが出ています。
過去20年、岐阜大学において400人あまりのムコ多糖患者を診断してきました。ですから日本においては毎年20人前後の患者が誕生していることになります。
ムコ多糖症は、症状が毎日のように進行していく小児難病です。
ムコ多糖が体中に溜まっていき、各臓器などに障害や悪影響を及ぼして、だんだん体が衰弱してしまいます。
ムコ多糖症は進行していくと、聴力がなくなったり、運動能力や知能障害、呼吸困難等を発症して早期に亡くなってしまいます。
以前ですと有効な治療方法として骨髄移植だけでした。
しかし拒絶反応などの副作用があり、術後に亡くなる方もいらっしゃったようです。
アメリカのセントルイス大学と島根大学では、生まれて間もない新生児のムコ多糖症を診断する検査技術の開発が行われています。治療を開始するのが早いほど治療効果も高いと期待されています。
ムコ多糖症の子供を持つ親御さんにとって、初めてその病名を聞いたときは正直戸惑いとショックを覚えるでしょう。
ほんの少し前までは、不治の病と言われても不思議ではない小児難病でした。
現在では「酵素補充療法」という治療法がとても有効な治療法で、ムコ多糖を分解する酵素が製剤化され、それを点滴投与して治療します。
「酵素補充療法」は、I型とII型とVI型に限り欧米で認可されています。
日本ではII型は厚生労働省に認可されていないため行われていませんが、近い将来承認される見通しがついているようです。
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